友枝会 11月2日 @国立
蝉丸
雄人さんと真也さんという、実の兄弟の蝉丸。
思えば思うほど切ない話です。
残された、盲目の蝉丸の明日は、去っていくしかない逆髪の明日はと思うと、やるせなく、胸にひびいて。
紅葉狩
久しぶりの閑さん。なんだか、小さくなられたようなお声のはりもないような。
それはそうだなーと、お能を見始めてから、もうはや15年、
自分も年を取れば、演者の方々も、なのだから。
それでも、その過程をまじかに拝見できるのも、幸せと思おうと思いつつ。
紅葉の季節の、鬼女伝説。
真っ赤な山紅葉の中での友枝さん。
お酒を注ごうとする、友枝さんをうっとりと「美女だな~」という、すでに翻弄されている
閑さんの顔と視線。忘れられないやりとりです。
これこれ、これよね~って。
この名人二人が、さしつさされつで、紅葉の中での酒宴。
寝たかな~寝たかな~と、待つ鬼女の友枝さん。
寝たと知って、翻って、急いで、シテ連れは去り、
シテも、さー、今夜は、人間を!と。
このあたりの話は、あらゆる鬼女伝説と類似。
しかし、紅葉狩は、美しい。赤く黄色の燃えるような山・・
残念だったのは、閑さん、立ちあがり、戦うときに、少しよろけられました。
あっ、と、多分能楽堂全体が思ったと思います。
橋掛かりに帰られるとき、ムッと、御自分への怒りを見せているようなお顔でした。